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心の深いところに届き、ずっとそこで鳴り続ける種類の楽曲ですね。
有志の方があげてくださっている翻訳を読んだんですが、機械翻訳に頼った私の解釈でも、そう遠くはなかったようです。
素晴らしい訳を出してくださっている、有志の方々に感謝です。
歌詞に出てくる「君」と「僕」は、とても強く結びついていて、片方が哀しいほど身動きの取れない場所から相手を想い、呼び続けている唄だと私は解釈しました。
この曲はドラマ「智異山」の挿入歌として制作されたものです。
ドラマは日本国内ではまだ配信されておらず、未視聴の私は、この曲を単体として聴きやすい環境にあるといえばあるんですが。
そこを割り引いても、序盤の少し抑えたJINさんのボーカルが、後半に向かうにつれ、徐々に強くなっていき、再び静寂に落ちていくという「閉じ方」が、この曲をドラマの世界観とはまた別の、独立したひとつの物語として成立させているように感じました。
私には、この楽曲が、JINさんが昨年作った、Abyssという曲の「君」からの、まるでアンサーソングのように思えてなりませんでした。
中盤の囁くようなファルセットが、心に隠し持っている空虚な部分に切々と迫ってきて、後半の盛り上がりで強く訴えかけてくる寂しさと孤独に、海流にゆっくりと押し流されるような感覚で、曲の世界観に引き込まれます。
ラストのふるえるような声で導かれる静かな余韻は、低温火傷に似た、かすかに疼く痛みが、残像として深く心に焼きつくものでした。
すごくシンプルなメロディラインと、JINさんの抜群の歌唱が、真っ暗な闇の中、潮に引き戻される砂の中を歩くように、抗い難い引力を持っていて、気がついたら、作品世界のとてつもない孤独と空虚さに、心が共振する感覚が込み上げてきます。
とてもとても傷ついたことのある人。
傷が過去になってしまったまま、時折、不意によみがえる、繰り返しのあの痛みを知っている人。
そんな気持ちに、優しく、静かに、何度でも寄り添い、作用し続ける1曲だと思いました。
楽曲制作クレジットにはSlowRabbitさんの名前もあり、やはりそうなのだな、と、こちらのほうでも強い納得がありました。
Yoursは2021年11月24日より、日本国内での各音楽プラットフォームで配信が開始されています。
ドラマ「智異山」が日本で配信されたとき、またこの曲に対して新たな聴き方ができると思いますので、その機会を楽しみにしていようと思います。
シンプルだからこそ誤魔化しようのない難しい楽曲に、光を纏う、滑らかで巧みな歌声が重なって、自分のとても深いところが反応する、そんな音楽体験でした。
JINさん、素晴らしい歌をありがとう!
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