この曲は、Mate(メイト)というバンドのカバーで、JINさんが2015年の12月3日にサウンドクラウドで公開したものです。
原曲では、「僕は君を愛している」と、ただ、繰り返し唄うサビの、
どちらかというと淡々と日々の営みの中で存在している愛を、
そっと日常を包み込む風に、優しく、そしてどこか徹底的に哀しく唄われているんですが。
JINさんはこの曲を、叫ぶように、引き裂くように、切々と唄うバラードとして再構築しています。
原曲とは全く違う歌唱の、このカバー。
愛というものが、
決して相手と完全には、ひとつにはなれない作用を持ってしまう、
生物としての限界、精神としてのやりきれなさを、
その上でもなお、「僕は君を愛している」と、切々と繰り返すしかない、
抱き続けている愛情への、懐かしさ、おそろしさ、いたたまれなさ、孤独を内包している絶対的な感情の、むせび泣くような震えを、JINさんは自身の声で表現していて、
絶望と救済が背中合わせになっている愛というものへの、非常に俯瞰した視点での解釈が光ります。
今から5年前に、1人の若者が、すでにこの解釈をし、この歌唱が可能だったという事実に、私は非常に驚いています。
どういう準備の仕方をしたのか、なぜ、この年のJINさんの誕生日の前日に公開しようと決めたのか、今の私には調べようもないことですが、この歌唱がサウンドクラウドに残っていて、本当によかったと思いました。
まだの方は、ぜひ聴いてみてくださいね。