1997年 アメリカ映画
名作といわれる作品でも、なぜか観ないできてしまうことって結構あると思うんですが、私にとっては、この作品がそうでした。
「グッド・ウィル・ハンティング」というタイトルとロビン・ウィリアムズが出演している映画、ということまで頭に入っていながら、おそらく当時、あとで観ようと思って、そのまま先送りにしていた映画です。
きっかけは、YouTubeで映画紹介をしているチャンネルでこの映画がおすすめに上がってきて、そのサムネイルを見て興味を持ったんですが、調べると、それが名前だけ覚えていた「グッド・ウィル・ハンティング」で、ああ、そういえばまだだったなと、この間、時間を作って観ました。
素晴らしい作品で、早く観ておくんだったなと、エンドロールを見ながら、いままで観ないできた時間をとても後悔しました。
教授クラスが解く数学の難問を、大学の清掃員の青年がひと晩で解いてしまう、 という、とても痛快で刺激的な物語の始まりなんですが。
ストーリーがとてもよく練られた、会話劇が中心の、当時のボストンを舞台に幾つかの階層の人々の姿をとてもリアルに描きながら、
・天才というものが出会ってしまった人々に与える影響とはどういうものか
・才能というものの正体とは、なんなのか
・喪失が訪れてしまった人間はその後どういう選択をするのか
・再生とは何か
という、
人生で多くの人が不意に目の当たりにするテーマを、主人公ウィルの青春期とその終わり、そして新たな始まり、までを描くことで、鮮やかに切り取った名作でした。
とても良かったのが、登場人物ひとりひとりの人生全部を、その役の俳優さんたちがそれぞれ緻密に解釈して演じていて、映画で描かれている物語は、あくまでもそれぞれの人物の1時期の姿に過ぎないのだと、観ている者に実感させる作りなところです。
なので、これはフィクションなんですが、映画を観終わったあと、それぞれの登場人物の日常は、この世界の中ではこの先もずっと続いていくものなんだな、という体感がすごくあって、すごい作品だなと思いました。
主人公のウィルを演じるのは、映画「ボーン・アイデンティティ」でお馴染みの、当時は無名の俳優だった、若かりし頃のマッド・デイモンで、ウィキによると、実はこの作品の脚本を、劇中でもとても重要な親友役を演じているベン・アフレックと共同執筆したんだそうです。
これで2人は、アカデミー賞とゴールデングローブ賞の脚本賞を受賞しています。
脚本化までにかなりの年月を費やしているところも、かなりよく練られたストーリーと世界観の要因ではないでしょうか。
私がこの作品を好きなのは、人生に突如としてやってくる、個人が抱えている問題への救済や、そしてチャンスというものが、決してロマンチックに描かれていないところなんですよね。
むしろ、それはすごくいびつな形で現れるし、もっと生々しく人生に関与し、その後も個々の体験を照らし出すものは照らし続けていくという、作中を通して貫かれているザラついた現実感覚があるところが、私はとても好きです。
これはあくまでも物語ですし、やっぱりその物語性というものがあってこそ、初めて映画として機能するという部分があるんですけど。
そのフィクションの中での現実感を、美しく、どこか寂れている街ボストンを舞台に、これでもかいうくらいリアルさを保ったままストーリー展開をしていったことが、逆に、ウィルのとても儚くて美しい1時期を鮮烈に描き出すことに成功したのではないか、と思いました。
あまりにもナイーブで苛烈な、切ないまでに聡明な主人公ウィルを演じたマット・デイモンは、その後、決して破滅的な人生を送ることなく、素晴らしい俳優人生と安定したプライベートを送っているので(ウィキより)、どうかご安心ください(笑)。
「グッド・ウィル・ハンティング / 旅立ち 」
いい映画でした。
お時間がある時に、ぜひ。
おすすめです。
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