休刊 キム・ソクジン



休刊 キム・ソクジン 
あと2ヶ月ですね。
ARMYさん達も待ち遠しくされていると思います。
アルバコエルレアオクラータは花が終わりました。
無事のお戻りを待っています:)

2024/04/30

香水:MITSOUKO 


ゲラン「MITSOUKO (ミツコ)」(オードパルファム)


 
先日、「ゲランの似合う女性になりなさい。」という、
とても美しく凜とした言葉を頂きました。
 
ゲランとは老舗香水メゾンの名で、「夜間飛行」「シャリマー」そして写真の「MITSOUKO
(ミツコ)」が名香として有名です。
 
「夜間飛行」は、「星の王子さま」の著者であるサン・テグジュペリが上梓した小説で、友人でもあったゲランの調香師のジャック・ゲランがそこから発想を得て誕生させた香水ですし、「MITSOUKO」は、やはり友人でもあったクロード・ファレールが発表した「ラ・バタイユ」のヒロインミツコをイメージして創った香水でもあります。
 
参考リンク
ゲラン公式サイト 夜間飛行 より
https://www.guerlain.com/jp/ja-jp/p/les-legendaires-vol-de-nuit---eau-de-toilette-P014312.html
 
Mistuouko ウィキペディア より
https://w.wiki/9vhk
 
ゲランの似合う女性になることは、あまりにもガチャガチャした私にとって、目標として掲げ続ける決して叶わないものです。
 

同じタイミングで、
「3枚目を卒業しなさい。」
とも教えていただき、私にとって過ぎた言葉をいただいたことで、いままでの来し方から思うところがたくさんありました。
 
うまくできているかどうかはさて置き、私はコメディ的な状況を現実でよく好み、冗談を良く言います。

けれど冗談の才覚がなく、私自身の親しさの距離感の現れは、どうも、ひどく局地的な土地の特色でしかなかったこともあり、若者の頃は、親しくなりたい相手に私にとって普通の親しさを表現すると、まったく違う土地柄のやり方だったこともあり、気難しい方からは叱られたりすることが多々ありました。
 
また、自分を含め、人が笑う、ということは至上である、という考えを持っていて、青年期まではその価値観で良かったのですが、歳を取るにつれ、私はよほどプライベートではない限り、自分から冗談を口にすることをやめていました。
 
最近、青年だった頃が懐かしく、たまたまそんな気さくな態度をいまの自分でとった後、前述したとても信頼している方から、
「ゲランの似合う女性になりなさい」
「3枚目は卒業しなさい」
と言われました。
 
その方がおっしゃっていることで、自分の理解を思うと、まだまだわからないことが多くて恥ずかしいんですけれど、私という歳をとった人間への注意としてとても明確で明晰で、胸を衝かれました。
 
教えていただき、すぐに考えたのが、私は青年期の終わり頃から、自分が思う、年齢を経た理想の女性像に対し、そのスタイル像は明確であっても、どうしてもそこへ進むことができていなかったんですね。
 
一体、このイメージのどこに抵抗を感じていたのかというと、どこかで強烈に、そのようなセルフイメージを目標にしようとするのは100年早い。と思っていた節があるんです。
 
実は、現実で私は会話や態度に不遜さが入ることをとても怖がります。
 
臆病さが出ているんでしょうけど、さすがにもういい加減、大人といわれる年齢に入ってけっこう経つのに、そういった洗練に対しずっと、
「いえいえいえいえ、私なんかがそんなことオコガマシイです」
とペコペコしていたんです。
 
何をやっていたんでしょうね。
 
きっと、私は謙虚さということを胸の底でちゃんと理解できていないんだと思います。
 
昔、底意があると誤解されないよう、傲慢だと思われないようにと、いつもびくびくしながら、ずっとペコペコし続け、腰が低いですよね。と言われると、あなたは偉そうではないですね。と合格点をもらえた気がし、なのに嬉しさなど微塵も感じず、ただホッとしてばかりだった頃を思い出します。
 
そんな私の態度を「謙遜しすぎて嫌みだ」と指摘され、自分が情けなくなり、ペコペコするのをやめてしまった苦い経験まで記憶から出てきてしまい、少し落ち込みました。
 
ちょうどいま衣替えをしているんですけれど(やっと腰をあげた人)、偶然、長期保存していたゲランのMITSOUKOの瓶が出てきたんです。
それは間違って私の元にやってきた瓶で、いまの私がつけるには少し重いかな、としまっていたものです。
 
冷暗所で保管していたおかげで香水としての役割は遜色がなく、さっそく空間にワンプッシュしてみると、少女の頃、憧れを握りしめて生まれて初めて買った香水MITSOUKOの香りは、記憶よりも軽く、鮮やかというより、静かに芯を持つ、落ちついた華やかな香りでした。
 
それは、私が無意識の芳醇な闇の奥で言葉にしないでずっと思っていた大人の女性のイメージと寸分違わず一致した午後でした。
 
ふだん私は、どうしてもつけていたい香水に不可思議と不思議との糸の先でめぐり逢い、素敵な香りのそちらを愛用しています。
 
ただ今日は、久しぶりに自分の好きな少しクラシカルな、長めのタイトスカートとダークトーンの服を合わせ、先の尖った5センチヒールのミュールをおろしたこともあって、少し、全体がハードだったんです。
 
それで、ふと、MITSOUKOを手に取って胴にワンプッシュしたら、瀟洒で芯のある香りをまとうことが出来、全体の印象が中和できたようでした。
おかげで今日は一日、いい気分で過ごせました。
 
制服を着ていた頃、MITSOUKOの小さな瓶を初めて手にしたはいいのだけれど、うまく使えず、がっかりした背伸びの季節にいる自分に向かい、やっと静かに、胸の中で微笑んであげられたような、そんな気がしています。
 
聞けば、私の大切な方々もMITSOUKOの香りが好きだと知り、今度こそ、MITSOUKOをうまく香らせられる人間を目指そうと、普段使いで愛用している、同じくゲランの香水を使いながら、もう似合わなくなっていた服を長い間、似合っていると思い込んでいた自分を、やっと脱ぎ捨てられたような気がしています。
 
以上、 香水:MITSOUKO、でした。

 
開ききったピンクパッション(クレマチス)



20240501 01:24 誤字と文章を直しました。
20240502 00:12 ミツコの写真を差し替えました。 
20240504 19:53 不要な箇所を削除しました。