「すみれ」という言葉がとても好きです。
菫と表記してあれば尚、好きで、薄田 泣菫(すすきだ きゅうきん)とくれば、「すみれ」が泣いてるのかあ! と膝を打ちまくって、いまだに泣菫を読んだことがないのに、「すみれ」という言葉を思い起こすたび、泣菫もセットで思い出しては、その鋭敏な感性にため息をついています。
タイトルにある通り、最初に「すみれ」を意識したのは、若草物語のベスが、隣の家に住むローリーのお祖父さんへ贈るスリッパに、三色のすみれを刺繍したエピソードを読んだ時です。
ご想像の通り、
刺繍?
プレゼントを贈るだけでもスペシャルなのに、それにすみれの花を刺繍する?
しかも三色すみれ?
・・・って、一体どんな花?
と、当時まったく身近ではなかった、美しい手仕事に強く憧れたり、三色すみれがパンジーやヴィオラのことなのではないか? と思いあたるまで、頭の中で色々な花を想像しては、うっとりしていたものです。
調べていないので、ベスが刺繍した三色すみれがパンジーやヴィオラなのか、それとも、私の住む日本を含むアジアに多く分布する、青く、ささやかな花の「色違い」だったのかは、いまだに調べていないのでわかりません。
きっと泣菫の精神の中で、ひと粒の真白の涙を落としていたのは、春を告げる青い花の方でしょうけど、ベスがスリッパにあしらったのは、パンジーやヴィオラがピッタリだと思います。
三色すみれの刺繍入りスリッパについて、色々と思いめぐらせはするんですが、このエピソードの正解がわかってしまうと、余白がなくなってしまってつまらなくなるので、今でも疑問のまま、大事に持っている小さなひとつです。
これを書くにあたって、馴染み深い花なのに、そういえばよく知らないなと思い、検索すると、Wikipediaにはパンジーとヴィオラは広い意味では同じ種類だとありました。
今季、我が家のベランダには、花を待つクリスマスローズと、いまはヴィオラが揺れています。
ヴィオラの花言葉は「誠実」。
浮わついた私には少し厳しい言葉だけれど、“小さな静か姫”には、とてもぴったりな花言葉だと思いました。
今年は厳冬になりそうなので、寒い夜は手仕事をしたり、甘いお菓子を作って過ごしてみようかなと考えています。
ベスと違って、刺繍ではなく編み物ですし、牛乳寒ではなくプリンですけれど。
それでも、電灯の下、好きな音楽をかけ、無心で手を動かしていると、胸の奥がやがて鎮まり、部屋の温度が少しあがるような、そんな心持ちがするんですよね。
みなさんは、この冬、どう過ごされますか?
それでは、温かい飲み物を入れて、素敵な日曜日をお過ごしください。
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