ほころびかけたサボン |
日曜日なので穏やかな内容を書いています。
今日はガッツリ園芸ネタです。
ミニバラ(だと思うんですが)のインフィニティローズの苗をドライブの途中で寄ったホームセンターで見つけ、思わず買ってしまい(これがほんとの衝動買い)、バラを育ててみたいけれど、難しいらしいし、環境が合ってるかどうかわからないし、とあれほど尻込みしていたバラ栽培ビギナーに、いきなりなってしまいました。
いまでもそろり、そろりと育てているんですけれど、これもいいきっかけだし、インフィニティとは別に本格的なバラを育ててみよう、と決めました。
私が好きなバラは、普段、花屋さんでお馴染みの、花びらの先が尖ったあのバラではなく、一般的にはイングリッシュローズ、オールドローズと言われている、カップ咲きの花びらが八重になっているものです。
イングリッシュローズの中にビギナーに育てやすい種類がある、と以前、どこかで耳にしたことを覚えていて、始めるならカップ咲きのイングリッシュローズや、原種に近いオールドローズなら、野生に近いから頑丈だろう、と見当をつけていました。
本格的に苗を購入にするにあたって、ふと思ったのが、比較的育てやすい、ビギナー向けで、私の住んでいる日本作出のバラを育ててみてはどうだろう、ということでした。
それならば、日本の風土で育ててもバラにストレスがかからないのでは、と思ったんですね。
本当は、以前、ここでもおすすめしたように(確か、そうでしたよね?)、ネット通販で苗を購入しようと、いろいろな専門ファーム(農場)を見て、こちらのにしようとブックマークにまで入れていたのが、ある日、うかがった専門的なグリーンショップのバラコーナーに、このサボンの苗が堂々とした枝ぶりで日差しを浴びているのが目に飛び込んできました。
だいたい苗というのは、どういう花が咲くか、タグが付けられているんですけれど。
サボンの苗につけられていたタグには、私がとても好きな、カップ咲きの八重のバラの写真がありました。
みると、河本バラ園作とあり、これはきっと日本のファームだろうし、好きなカップ咲きの八重のバラだし、これにしよう! これならきっとビギナーでもなんとかなりそう! と、中でも一番元気そうな苗を抱えて、レジに行きました。
するとレジにいた店員さん達が苗を見るなり、
「カワモト・・・」
「カワモトさんのだから」
「・・・これ、確認・・・、呼んで・・・」
と小声の少し厳しい表情で急に忙しく動き始めたんです。
なんのことかさっぱりわからずに、??? と突っ立っていると、店員さんの一人がすごく詳しそうな人を呼んで、その詳しそうな人が足早にやってくると、「ああ、これね。確認して!」と周りの店員さんに指示をし始め、何か書類のようなものを出してきて見始めたんです。
私は一体、何をレジに持って来てしまったんだろう・・・?
目が合うと、その詳しそうな人は、突然笑顔になって、「いい苗です!」と言って、また足早に去っていってしまいました。
え、何を買ってしまったんだろう・・・?
と、さらに不安になっていると、値段が他の何百円とかの苗と比べるとちょっと高いので(普通に買える値段です)、それで確認されたのが後になってわかりました。
・・・と、ここまで読んで、カワモトという名前が出てきた時点で、ずっと笑いを噛み殺している方々がご存じのとおり。
河本バラ園というのは、日本を代表するバラ苗の生産、育種会社で、河本純子さんという天才育種家さんがおられるところだったんです。
参照リンク
hanahanashop様
https://hanahana-shop.com/collections/89791
私がビギナーにいいんじゃないか、と買ったサボンも河本さんの作出、しかも2022年に出された新種、新作だったんです。
訂正します。
サボンを河本純子さん作出、2022年と書きましたが、私の勘違いでした。
河本純子さんの育種は、義妹にあたる麻記子さんに引き継がれています。淡いくすみカラーで繊細巧緻な花形。繊細さはそのままに樹の性質は向上しています。
手芸やさんのバラ「ローズ ドゥ メルスリー」のブランド名で‘クロッシェ’‘モチーフ’がデビューしたのは2016年の秋。その後作出品種の‘アジュール’(2020年秋発表)、‘サボン’(2021年秋発表)が、2022年に国際コンクールで受賞するようになりました。
Plantia 様
上記にありますとおり、サボンは2021年発表のバラです。
私の確認不足でした。大変失礼いたしました。
20230430 22:53 追記
つまり、いきなり私はバラ界のシャネルの新作を、何にもわからないままレジに持っていってたんですね。←どうしていつもそうなの?(それは私が一番知りたいことです(無表情))
そういうしょっぱなから出だし好調な←失笑 サボンとの出会いだったんですけれど。
このサボン。
やっぱり苗がとてもいい状態だったみたいで、すくすくと大きくなってくれました。
バラ本を頼りにおぼつかない手で育てていたんですが、蕾をたくさんつけて膨らみ始めたので、ここ数日は何度もベランダを見にいって、どうなんだろうか。このまま無事に咲くんだろうか。大丈夫なんだろうか、とオロオロしていたんです。←落ち着けよ。
それで今朝、外側の花びらがめくれ始めたので、嬉しくて写真を撮りました。
水滴がついているのは、あたたかい初夏の始まりの雨が昨日降っていたからです。
これはビギナーの個人的な感触なんですけれど。
どうもこのサボンは水を好む性質みたいで、春の間、とても水をよく吸い上げました。
バラ本によると、バラの鉢植えは排水がいい状態で育生させるのが基本なんだそうです。
私もそれに倣ったんですけど、最初に育てたインフィニティローズと比べると、鉢底(はちぞこ)から水がたっぷり出るほど水をあげた後も、とても早く土の表面が乾いたので、大丈夫かな? と思いながらも、バラ本の指示に従って水をあげていました。
そして蕾をたくさんつけた後、あたたかい雨が降っている中、部屋に入れるべきかどうか迷っている最中に、蕾がすごくふっくらと大きくなっていき、花がほころび始めました。
だから、サボンは通常よりも水を好むタイプなんじゃないかと、いまのところは思っています。
とても興味深かったので、データとしてここに記しておきます。
バラを始めて、いまはビギナーなので、バラにまつわるすべてがとても面白く新鮮ではあります。
ただ、それを除けても、とても不思議な美しい植物だな、というのが率直な感想です。
不思議というのは、育て方が少なくともビギナー本を一冊は用意しなければならないほど、私が知っていた低レベルの鉢植え育成経験値とは全く違った、バラという種にとても集中し、特化した育成方法だったことです。
そして美しさなんですが。
切り花や植物園のバラで見ていたものとは全く違う、品種としての美しさと強さがあります。
なので、葉の色ひとつ取っても非常に美しいですし、花びらの、透き通るようななんとも見事な色合いや、開花後の肉厚な存在感、華奢な精巧さ、というものがとても衝撃的でした。
先の尖っているバラ(剣弁高芯咲き(けんべんこうしんざき))もいいけど、別の種類のバラも・・・、という私と同じ方、もしおられましたら、イングリッシュローズのバラ栽培、手間暇かかりますけれど、美しい充実感のあるひとときが確実に手に入りますので、おすすめです。
切花で楽しむ場合も、イングリッシュローズは最近では取扱店があるようなので、お店に行く前に電話で確認してみてくださいね。
それでは、花びらいっぱいの気持ちで、素敵な日曜日をお過ごしください。
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