Japanese Summer Maniac Pops
ー 睡蓮の開く音がする月夜 最終夜 ー
グルーブ・チューブ・パート2〜GROOVE TUBE Pt.2〜 / Flipper's Guiter
シングル GROOVE
TUBE 収録
最終夜の今日は、フリッパーズ・ギターの「グルーブ・チューブ・パート2〜GROOVE TUBE Pt.2〜」です。
一度紹介していますが、好きなので、再度取り上げます。
シングル GROOVE TUBEのカップリングとして、このグルーブ・チューブ・パート2〜GROOVE TUBE Pt.2〜が入っていました。
と言っても、私はシングルを買ったのではなく、ラジオで夜のどうでもいい時間に、このグルーブ・チューブ・パート2〜GROOVE TUBE Pt.2〜を、深夜遊んだ帰りの車の中や、宅飲みしているときに、もう流す曲今日は見当たらないな、という時、
ふとラジオをつけて、DJ達が狂ったように、先を争って流していたのを聴いていました。
そしてラジオから録音して聴いてたのかな?
確か、そんなんだったと思います。
大ヒットしていた、というより、これは、いまかけるべき楽曲!という判断が、その頃、たくさん、たくさん、されていたんだろうなと、いまでは予測出来ます。
この時期お金があまりなかったので、クラブには行っていませんでしたので、そこら辺の事情はわかりません。ごめんなさい。
知ってる人は皆知ってる楽曲なので、どうして取り上げたかというと、この長い、サンプリングだらけの楽曲の中に、私の大好きだった映画「トワイライト・ゾーン」のテーマが使われているからです!
そういう意味で、セレクトがマニアックかもしれません。
あとまあ面白かったんですよね。
いまですと珍しくもなんともないですけれど、
それでもこれだけ長い楽曲で、
惜しげもなくサンプリングで遊んでいる、
しかもそれが洗練されている、というところに、
フリッパーズ・ギターって、
やっぱり一目も二目も置かれる存在だったんだな、
とあらためて思います。
フリッパーズ・ギターは、私の周囲の人達は皆、1枚から2枚は確実にアルバムを持っていました。
ドラマタイアップ曲の大ヒットもあったんですが、なにより新しい音楽だったので、とても支持されていました。
サウンド面でもとても凝っている音楽を作っていますが、
私は例によってFlipper's
Guitarの世界観から紡ぎ出される言葉がとても好きです。
この頃って、色々な文化になる前の形のものが新しく発生したり、外国から入ってきたストリートカルチャーとかが私の住んでいる街にも芽吹いていて、なかなかにスリリングな時期だったな、という思い出があります。
私は、そんなにお金はなかったけれど、暮らせる範囲で暮らせてた人間なので、朝起きて、いきなり壁に絵を描いてそれがお金になって、すっごい良いマンションに越したり、とか、ちょっと書いただけの小説で一攫千金せしめて豪遊したり、とか、そういう感じでは当然ありませんでした。
ですが、私のフットワーク圏でも、新しい人々や、今こそなんかやってやろう!とあれこれ面白いイベントを作っている、血気盛んな人達もたくさんいて、そういう人達を見かけた時は、普通の人間の私達は、いつもちょっと離れたところで、お酒を飲んでおしゃべりをしたりしていました。
そんな時期に、ふと初めて見かけるお店が近所にできたので、服が欲しかったこともあって、ある夜、ふらっと入ったら、思いっきりストリートカルチャー、ヒップホップテイスト・ゴリゴリのお店だったんです。
でも、ちょうどその頃、カジュアルな服が欲しかったので、お店のこれまたゴリゴリの怖そうなヒップホッパーなお兄さんに軽く会釈して、色々見ていたら、すごく親切にしていただいたんです。
私の、結構キレイに見えるカジュアルな服か、何にでも合わせやすい帽子があれば、という、クソめんどくさい注文に、とても紳士的に、これがいいですよ、とお兄さんが教えてくれたのが、CHAMPIONのニットキャップでした。
確か、「普通のキャップだけど、普通よりちょっと良く見えるから、これを僕はお勧めします」
とおしゃっていたので、買えない値段ではなかったので、それを購入して、合わせる服のポイントとかも詳しく教えてもらってお店を出ました。
ちなみにビーニー、ニットキャップ、ワッチの違いについては、以下の参考リンク様をご覧ください。
参考リンク
OVVERIDE 様内 Journal 2022.12.27
ビーニーとは?ニット帽、ワッチとの違いやかぶり方を解説!《メンズ・レディース》
https://overridehat.com/journal/2022/12/what-is-beanie/
それ以来、ああ、ヒップホップ系の人達でも、怖い人ばかりじゃなくて、こういう紳士的で、要領を得ない注文にも、的確に答えて、商売の範囲でちゃんと親切にしてくれる方もいるんだな、と、見方が変わったんですよね。
そして、そのチャンピオンのニットキャップは、長い間、本当に、長い間、得体の知れない同士、警戒しながら様子を伺っている時、何度も何度も私を明るくて気さくな人達のところに、ドアを開いてくれました。
だからかもしれませんが、普段、私は、危ない雰囲気の人には全く近寄りませんけれど。
見かけない、新しい流行の服やリバイバルの洗練された服を纏い、新しい考え方やビジネスを発信し、普通の暮らしに向けて、そういう人たちがドアを開いた時には、可能な限り、緊張しまくりながらも、コミュニケーションをとってみようとするようになりましたし、
ウーバーやスポティファイ、前だったらiTunesも、まずはやってみる、からとにかく始めてみて、今に至ります。
あの時の自分の体験が、ポジティブなものを私に埋め込んだこと、その後の、魔法のように、
私の着ている服のメーカーが相手の笑顔を引き出した数々の体験から、
私には、やっぱりこういう感じがいいんだよな、と思っています。
フリッパーズ・ギターが出てきた時、早耳の店員さん達の手によって、CDショップの棚にすでにドーンと飾ってあったから、もう期待が凄かったし、
その期待以上に、
インテリジェンスあふれる傑れたメロディ、
洗練された普遍を見つめる言葉でできた、
シネマライクな歌詞、
それらがまとっていた、
明るくて、おしゃれで、どこか近寄りがたさも感じさせる気分屋な憂鬱を、わあ、すごいな、と思ったのを覚えています。
ああ、こうやって、あっけないほど、ビュンビュンと追い越されて行って、私の知ってる音楽は最新ではなくなっていくんだな、と、清々しいような途方に暮れるような、そういう不思議な気持ちで、少しだけ今と比べて夜の色が暗かった時期を、Flipper's Guitarは手渡して、またスッと先に行ってしまうのでした。
5夜にわたって、
Japanese Summer Maniac Pops
ー 睡蓮の開く音がする月夜 ー
と題し、この時期に合う、またはこの時期を舞台にしたポップス(ポップロックも含む)について、またはそこから紐解かれる話をする、という久しぶりのイベントにお付き合いくださり、ありがとうございました。
いきなり始まり、いきなり終わるのが、この場所のイベントなので、今回もそうします(笑)
この頃、思いっきり好きな音楽の話ができていなかったので、書いている方としてはとても楽しく、すっきりした気持ちになりました。
少し前に、音楽は私にとって記憶装置の一種なのだ、というようなことを書きましたが、色々と普段手放してしまっていることを、思い起こすきっかけともなりました。
ネットで見かけた、人の言葉ですが。
必要だからいま思い出した、という言い方があるそうです。
何に必要か、までは、まだわからないけれど、いい方向に向かうきっかけになるといいな、と思っています。
この、いきなり始まり、いきなり終わる、なんだかよくわからないイベントが、みなさんにとっても、何かポジティブなものを手渡す橋渡しとなれるのならば、幸いです。
それではまた、次のイベントでお会いしましょう!
明日は、日曜日なので、穏やかな内容を更新する予定です。