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おかえりなさい、JINさん。
ARMYさんおめでとうございます!:)

2023/07/05

Japanese Summer Maniac Pops ー 睡蓮の開く音がする月夜 第2夜 ー 赤い靴のバレリーナ / 松田聖子 (seiko matsuda)

 

Japanese Summer Maniac Pops

ー 睡蓮の開く音がする月夜  2夜 ー

 

赤い靴のバレリーナ / 松田聖子 (seiko matsuda)

 

 

 

アルバム ユートピア 収録

 

松田聖子に関して、かいつまんだ情報を書くと、日本のトップアイドルからトップスターになった、日本のポップスターです。

 

日本にもポップスターはたくさんいるんですけれど、山口百恵というポップスターが綺羅星の如く現れ、伝説となったあまりにも短い活動の後、惜しまれながら結婚と共に引退し、その後、まるで約束されていたかのように、世に現れたのが松田聖子でした。

 

詳しくはWikipediaをご覧ください。

 

ウィキペディア 松田聖子

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E7%94%B0%E8%81%96%E5%AD%90

 

アルバム「ユートピア」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%94%E3%82%A2_(%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A0)

 

 

松田聖子は、ありとあらゆる当時のトップアイドルの常識をくつがえし、快進撃を続けていたのですけれど。

 

彼女のアイドル活動期の特色として、当時の国内の実力派ミュージシャンたちが、松田聖子というアイドルのアルバムに多数参加していた、というものがあります。

 

なので、楽曲的に、日本の歌謡曲としての良さを追求していたごく初期のアルバムと、

その後の名曲揃いのアルバムは、クレジットにある通り、

はっぴいえんどの松本隆がほとんどの作詞を担当し、

同じくはっぴいえんど、のちに「A LONG VACATION」を発表する大滝詠一、

同じくはっぴいえんど、そしてのちにYMOの細野晴臣、

松任谷正隆、松任谷由美の別名義である「呉田軽穂」、

甲斐バンドの甲斐祥弘、

チューリップの財津和夫、来生たかお、などなど、

 

そうそうたるメンバーが作家陣に加わり、

その楽曲の多くを、

名編曲家である大村雅朗が担当していたという、

ただの一過性に消費されるアルバムでは、決してありませんでした。

 

私見ながら、この時期、すでにトップアイドルであり、ポップスターであった松田聖子に課せられてた音楽的役割は、

「かわいくて誰もが眩しく思う、主人公の女の子の気持ちを歌う」

から、

「どこかにきっといる、聴いたものがみな、心に思い浮かべることができる」、

「誰かにとって、とても大切な女性の気持ちを歌う」

に、切り替わっていった頃だったと思います。

 

松田聖子の夏の名曲は、この名盤「ユートピア」に同じく収録されている、以前、当ブログでも紹介した「マイアミ午前5時」を私はまず第一に挙げますが。

 

ポップスとして非常に巧みで、強い支持を受けるのは、おそらく「渚のバルコニー」でしょう。

この楽曲で、彼女はヘアスタイルだけではなく、ファッションリーダーにまでなるきっかけとなった名曲ですので、このセレクトでまず間違いないと思います。

 

ですが、今回はManiacという区分けをしていますので、あまりメジャーのくくりでは光が当たっていない、名曲「赤い靴のバレリーナ」を私は挙げます。

 

聴いていただければお分かりの通り、ギターと鍵盤の旋律が美しいスロウな楽曲で、作詞は当然、「松本隆」(Takashi Matsumoto) 、作曲 「甲斐よしひろ」(Yoshihiro Kai)、編曲 「大村雅朗」(Masaaki Omura)が楽曲制作をしています。

 

この曲に出てくる主人公は、普段は少しおとなしい、あまり活発な「私」ではありません。

 

そして、とても繊細な気持ちと気分を持ちながら、人生というもので、花の季節が短いことをはっきり自覚している、現実の苦さも知っている主人公です。

 

その「私」は、冒頭の歌詞で、こう心のうちを明かします。

 

「前髪1㎜ 切りすぎた午後

あなたに逢うのが ちょっぴり こわい

一番 綺麗な時の私を

あなたの心に 焼きつけたいから」

(赤い靴のバレリーナ / 松田聖子 より)

 

つまり、みなさんよくご存知の通り、前髪が1㎜ 違うだけで、自分の顔の印象が変わってしまうことを、この主人公もよくわかっているんですね。

 

そして、”一番 綺麗な時の私”を見てもらいたいし、覚えておいて欲しいと続けます。

私が一番綺麗なのは、いまのこの時期だけなのだ、という寂しいことを思ったり、それはちょっと自惚だったり、相手との恋愛が自分を美しくしてくれたことを知っている、少しの自信でもある気持ちを打ち明けます。

 

いきなり冒頭の歌詞でこれです!

 

みなさん、これが松田聖子です!

これが、松本隆です!

 

続けます。

 

「明るくなったね 人に言われて

誰かのせいよと 謎めきたいの」

(赤い靴のバレリーナ / 松田聖子 より)

 

からわかる通り、この「私」は、恋愛で変わったんですね。

 

そして楽曲の最後まで貫かれる繊細さは、「私」が、非常に「ものおもい」の時間を持っている、心の中の方が雄弁な人物であることを表現しています。

 

そして、この「私」の相手はどんな人物かというと、

2番の歌詞にある

 

「海から あなたに電話をかけて

いますぐ来てよ、と わがまま言おう

車を飛ばして 来てくれるかな

それとも やさしく 叱られるかしら」

(赤い靴のバレリーナ / 松田聖子 より)

 

という、

「私」の繊細さを受け止めてくれる、優しい気持ちをもつ、大人の、恋愛的にも成熟した男性だと想像できます。

 

赤い靴のバレリーナ」という曲の中で、ときめきもあり、輝きもあるけれど、2人の関係が地に足のついたものであることも示唆されていると、私は解釈しています。

 

さて、この、かわいらしいわがままを「私」は実行したんでしょうか。

 

それは、

「見知らぬ電車で 見知らぬ海へ

見知らぬ駅まで 切符を買ったわ」

(赤い靴のバレリーナ / 松田聖子 より)

 

とだけ、描かれており、その結末はリスナーにゆだねられています。

 

私は、「赤い靴のバレリーナ」を初めて聴いた時から、同じ結末を想像しているのですが。

 

それは、夏の繊細さのひと幕を、この楽曲で表現してみせた、名アーティスト達に敬意を表し、

 

あえて、言葉にしないでおこうと思います。

 

 

それではまた、日本時間の明日の夜7時に、お会いしましょう。

 

 

 

タイトル副題 河出文庫 少年アリス 長野まゆみ(Mayumi Nagano) より、冒頭第1節を引用

 

 

 

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