もともと靴に対して、すごく偏愛を持っていたんです。
過去形にしてるってことは、今は違うんですが。
それまでは、ヤバイくらいに靴が好きで、毎月、お小遣いの中から、靴の予算を捻出して、靴を買って、すぐに履かなくて、これはこの時のため、これはこういう時のためって、今となっては自分でも、「ちょっと何言ってるのかわかんない(byサンドウィッチマン)こだわり」で、しまい込んでたんですね。
そう、すぐ履かないんですよ。
で、少しの量なら、それはお洒落計画の範囲で、まあ好きな人は、やってることだと思うんですね。
でも、私の場合は、そのしまい込んでる範囲が年単位だったし、出かける予定っていうのも、すごく細かい、今となっては忘れちゃったぐらいの、自分しかそんなのわかんないよ、というタイミングだったんです。
そういうことをしていると、履いていく靴より、しまってる靴の方が多くなってしまっていて、いつも衣替えの時に、大量の靴の箱が出てきてたんです。
中を見て、やっぱりこれはこの時に履く用だから、と取っておくのを繰り返して、いつまで経っても、靴が減らないし、またそれでも買うから、増えるばっかりだったんです。
そんなある日。
人気のお店に予約が取れて、久しぶりにわりとキレイ目の服を選んで、さあ、靴ですよ(笑)
靴も、そうだ、あれ履こう!って、ずっと取っておいた、エレガントすぎて中々履く機会のないローヒールを出したんです。
ちゃんと前の晩にね、玄関に。
ベージュと淡いピンクの編み込みにゴールドの革紐がアクセントとなってる、華奢なシルエットの、ポインテッドトゥの靴。
それを出してきて、当日、よっしゃ、履くぞ!(掛け声・・・)、と意気揚々と履いて出かけたんです。
そして、食事も楽しくて、いい夜を過ごして、帰り道。
なんか歩いてて、変な音がするんです。
パキパキっていう、歩くって行為にまったく含まれない音が。
あれ?と思って、靴を見ると。
なんと、靴の表面の塗料と一緒に、皮の表皮が、パキパキ音を立てて、剥がれ落ちていってたんです。
・・・すごく良い言い方をすれば、魔法がとけたみたいに、靴からハラハラパキパキと表皮が落ちていってたんです。
普通にいえば、玉ねぎの皮みたいに、靴の表面が全部割れて落ちちゃって、私の歩いたあと、脱皮したみたいになってたんです。
夜道に光る白と淡いピンクの皮の群れ、時々ゴールドで。
確か合皮ではなくて、本革の靴だったと記憶してるんですが。
なぜそんなことになったのか、わからないんです。
とにかく、しまっておいたものが、空気に触れて、ハラハラと塗料の表面が割れて、落ちていってたんです。
時々、風化する表現で使われるアレですよ。最後、ちりになって風がピューって吹いて、跡形もなくなっちゃう感じ。
靴クリームを塗っておくべきだったんでしょうね。きっと。
でも新しい靴をそのまま取っておいたわけだから、そういう手入れは必要ないと思っていたんです。
で、どうしたかっていうと、点々と跡を残しながら、歩いて帰りました。
家に帰りついた時には、靴は完全に塗料が落ちちゃって、皮の表皮も割れて取れて、染めてあった部分は、煮出したカンピョウみたいになってて、もう全く別物の、あなた、確か、以前、靴でしたよね?というものになってました。
お気に入りの、とっておきの靴が、そんなダメになり方をするとは思わず、でも、もうどうしようもないから、履けないし、修理というか、塗り直し?をすることも出来るかどうかわからなかったので、しょんぼりしながら捨てました。
そういうことがあって、ああ、取っておくにも、限度があるんだな、と、ものには何事も限度があるんだな、と、思い知りました。
それで、私にしては、膨大な靴のコレクションを、ひとつひとつ履いていくようになったんです。
そうしたら、なんで買っちゃったの?っていう靴とか、良いけど歩きにくい靴とか、どこに履いていくの?っていう靴が、ゴロンゴロン出てきて、仕方がないので、工夫して履いて、少しずつお役御免になっていって、今に至ります。
それでも、まだしまってある靴が10足ぐらいあるんですけど、それぐらいは普通かな?と思っています。
だいたい、それぐらいですよね。靴のストックって。
そういうことがあってから、服もですけど、とにかくしまい込んでいるものには、注意を払うようになりました。
私は靴だったけど、最悪、服で、華奢なセーターとかだったら、糸が古くなって着てる時にほどけてくることだって、無くはないので。
靴への偏愛はまだ持ってることは持ってるんですが、いまは靴屋さんの前を通っても、顔を背けて歩くようにしています(笑)
衝動買いっていうよりは、夢中になって買っちゃうんですよ。
ちょっとヤバイ感じで好きが出るんです。
なので、いまのところ、そのおかげか、新しく靴を「買ってしまう」ということはなくなっています。
まだあるしね、履いてないのが!
キリンジの歌に”胸の中にしまい込んだ林檎が腐ってなければいいね”という歌詞があるんですけど。
(キリンジ イカロスの末裔 より)
まさに、その通りになってしまった私の靴コレクションの顛末でした。
とりあえず、靴は買ったら、すぐ履きましょう。
履かないなら、いったん出して、手入れしておきましょう。
自戒を込めに込めて、書いておきます・・・。(涙)
表題曲は佐野元春(さの もとはる)の「ヤングブラッズ- '99 mix version」。
ベリー・ベスト・オブ・佐野元春「ソウルボーイへの伝言」に収録されています。
”静かな冬のブルーズに眠る この街のニューイヤーズデイ”
(佐野元春 ヤングブラッズ より)
という出だしから、たぶん、年明けの歌だと思うんですが。
新年度の始まりも、ニューイヤーズデイですので、この曲にしました。
新生活を送る方も、いままで通りの方も、新しい年度からまたスタートですので、この曲でお祝いしたいと思います。
MVがとても素敵で、佐野さんが、突然、冬の街に現れてゲリラライブをする、という様子が映っていて、そこにいた人達も大喜びで、全員1体となって音楽を楽しんでいるのを観て、すごくワクワクしたのを覚えています。
佐野さんってすごく評価が高いミュージシャンですけど、私個人としては、もっと評価されてもされすぎないミュージシャンじゃないかと思っています。
「VISITORS」も凄まじいアルバムですので、よかったら聴いてみてください。
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