深海にやわらかく届いた微かな光が沈黙に揺れて、
そのあまりの美しさと悲しさに息が止まりそうになる。
音楽には治癒という役割があります。
双方向の治癒です。
作り手は、言語化し、表音化したものを、繰り返し唄うことで、
その人自身の内部を整え、客観視することができ、
メロディの繰り返しが洗練を帯びさせていったその作品は、
やがて普遍性と同時に救済性を持ちます。
聴く側は、
言語以外の領域が、自身の最深部に作用する音楽体験を通して、
心の反応が唄の調べと繰り返し同調することで、
知らぬ間に自分が持っていた、
手の届きにくい部分にある、「傷」と呼ばれるものが、癒えていきます。
これは音楽の力と呼ばれるものの、ひとつの在り方だと私は考えています。
Abyssはそういう種類の楽曲だと思いました。
心の中に静けさの嵐が吹き荒れている状態で、
自分の最深部を楽曲化し、言語化することは、
途方もない痛みの伴う作業だったのではないか、と想像しています。
Jinさんにとってこの「接続体験」が、
明るい場所へ流れ着くきざしであることを、
最深部に実はある、あの光が照らしだすものが、
もう1人の自分を抱きしめる瞬間であることを、心から祈っています。
触れさせてくれてありがとう。
あなたのことが、大好きです。
BTS公式チャンネル BANGTANTV より
Abyss by Jin
サウンドクラウドでも公開中です。
https://soundcloud.com/bangtan/2020jinbirthday