オリエンテーリングって、いまでも行われているんでしょうか?
地図と方位磁石を持って、自然の中に入っていって、あちこちに置いてあるアイテムを拾い集める、あのゲーム。
私も20代だった頃、もうなんだったか忘れちゃったけど、強制的に参加させられて、結構大変でした。
すっごい広大な自然の中で行われたので、最後は地図とコンパスだけが頼りで、道なき道を歩いて、やっとゴールした思い出があります。
いま、もしもやってるなら、もっと小規模な範囲じゃないんでしょうか。
遭難とか危ないんで。←どこでやったんだよ
そのオリエンテーリング。
同じく若者だった時に、誰でも知ってる超1流企業のオリエンテーリングを、テレビで見たことがあります。
入社後の新人研修のラストに、合宿先で行われてたものだったんですが。
あまりに衝撃的で、いまでも忘れられないオリエンテーリングです。
覚えている限りの条件を書くと、
- チームでやる。
- チームにはリーダーが1人必ずいること。
- オリエンテーリングは最後までポイントをパスしなければ、合格にはならない。
- そのオリエンテーリングには、タイムリミットが定められている。
でした。
これだけ見ると、そんなに難しそうではないんですが、これがどうしてどうして。
実際にオリエンテーリングに入ると、チームだから、どれが効率良いやり方かでもめるし、リーダーシップ発揮できない人いるし、またはリーダシップ強すぎて、チーム内で分裂してしまったりと、あれこれ問題が起こるんですね。
それでもなんとかどのチームも、ゴール前の最後のポイントにたどり着くんです。
でも、そこには、うんと前に自分達を抜かして行ったトップチームがまだポイントを見つけられずにいて、それが1チームだけじゃなく、先に行った全部のチームがそこで引っかかっているんです。
ゴールは合宿所で、確か最後のポイントの隠し場所はその敷地内だったんですけど、これが探しても探しても無いんですよ。
で、話し合いをして知恵を出し合うグループ、しらみつぶしに探すグループ、ヘトヘトになって心が折れちゃうグループと、隠し忘れのミスじゃないのかと会社の人に確認をするグループと、そこでも様々なんです。
とうとう最後は日が暮れて、タイムリミット直前になっても、全グループが敷地内で探している。
そうしたら、あるグループが合宿所に入っていったんです。
それで「やっぱりあるんだ!」と、他のグループはどよめいて、また探し出すんですね。
そのうち、もうタイムリミットが来ちゃうから、この最終ポイントはもう見捨てよう、というグループも出てきたりしてました。
やがてタイムリミットが来て、最後の最後まで探していたグループもあきらめて合宿所に入って、1番最初に入ったグループに聞きに行ったんです。
どこにあったの?って。
そしたら、ちょっと硬い表情ではあったけど、
そのリーダーが笑顔で、「無い」って答えたんです。
は?と思うでしょう?(笑)
でも、そのグループとリーダーは、「最終ポイントにはチェックポイントが設置されていない」という判断をしたんです。
それが答えだったんですよ。
その無いと答えたリーダーは、どうして最終判断を「該当なし」にしたのか、それができたのか、会社の人も聞いてたんですけど。
彼いわく、
「自分はいいチームでオリエンテーリングを行なっていた。みんなすごくできる人たちばかりだった。その人たちがこれだけ探しても無いっていうことは、もう無いんだ、と思ったし、それを判断することが、リーダーである自分の役割だと思った」
と言っていました。
たぶん、その人、今ごろ大出世してると思うんですけどね。
このドキュメンタリーの、予想もつかない、凄まじい結末は、若者だった私に大きな衝撃を与えました。
それでまあ、なにも知らずに、
「いいなぁ、いい大学行って、いい会社入って、将来順風満帆だよねー。」
なーんてフワフワうらやましがってた自分が、1流企業に入社する人っていうのは、やっぱりすごいんだな、
と心底、思い知ったこと。
それと、
「該当なし」
という判断を私は、いつかその時が来たらできるだろうか?
という疑問が、いまでも私の中に残り続けています。
幸いにも、大きな瞬間で、「該当なし」を探さないといけないことは、まだありません。
でも、私はこの凄まじい新人研修を、一生、忘れないと思います。
リーダーってやりたがる人が多い役割だし、やりたくないのに、結局やらなければならない時が来るものだとも思います。
いまの私にわかることは、リーダーの数だけ、リーダーシップが存在し、リーダー方法論があるんだろうな、ということです。
1人でやってても、それは「チーム自分」のリーダーをやらないといけないし、たぶん、無意識にやってるんだとも思います。
だから、本屋さんにいくと、リーダーについての本が山積みになってるし、議論の材料にもなってるんでしょうね。
これ以上進めると、何回かにわけなきゃいけなくなるので、気楽な毎日の話題としては、ここで結びとします
「該当なし」
ものすごいリーダーシップでした。
表題曲は奥田民生の初期の名曲「イージュー★ライダー」。
「CAR SONGS OF THE YEARS」に収録。
若者だった自分、若者だった人たち、いま若者をやってる人たち、これから若者になる人たち。
その全部を過不足なく歌い切った不朽の名作だと、ずっと思っています。
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